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  株式会社カヤバの漆ブログ

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漆コラム:目次

2007/10/31(Wed)14:49

No.24|漆コラムComment(0)Trackback()

漆塗り技法解説①:木目の美しさを際立てる塗り

2007/10/14(Sun)00:00


漆塗りの技法も様々。

木目を生かした塗りや素材を生かした塗り、鏡面仕上げの様なピカピカした塗り、

たくさんの塗りがあります。

これからカヤバの得意とする塗りを順番に紹介していきたいと思います。

今回は木目の美しさを際立てる塗りです。

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 1.拭き漆(摺漆)

 2.目はじき(柿合わせ)塗り

 3.木曽春慶(木地呂)

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1.拭き漆(摺漆)


拭き漆







▲(左より)拭き漆:生漆/弁柄/黒漆


木地に漆を摺り込み、拭き取る作業を数回繰り返し薄く均一な漆膜を作り、

艶を上げる技法です。 

木地の色によって、仕上がりの色が違ってきます。

家具や小物はもちろん、建具や床・造作材など、どんな所でも使い易い

カジュアルな塗りです。

漆はウレタン塗装とは違い、木の呼吸を妨げません。

床材や壁に塗ると、夏はさらさら冬は冷たくならず、肌触りもとてもよいです!

漆塗りの中で一番お値打ちな塗りです。


拭き漆を施したフローリング










▲拭き漆を施したフローリング


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2.目はじき(柿合わせ)塗り


目はじき(柿合わせ)塗り







▲(左)赤漆 (右)黒漆


柿渋(※1)を直接下地に塗り、黒、紅柄(※2)などで色を付け、

半透明や黒の透漆を上塗りする技法。

材に直接、導管や木目を潰さずに塗り、導管の部分で漆をはじかせ、

目にそって小さな穴があく事を利用して凹凸を作っていきます。 

目はじきは、1.拭き漆と違い、塗っても拭き取らないので、木地の色はあまり影響せず、

漆の色がかなり出ます。

先日、スタッフ日記で掲載したこの商品も、赤の部分は目はじき塗りです。

小物や家具、建具など、空間の中でポイント使いしてみると面白いと思います。


目はじき(柿合わせ)塗りで塗った建具















▲目はじき塗りで塗った収納建具


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3.木曽春慶(木地呂)


春慶塗







▲春慶塗(左)艶あり(右)艶消し


木地を着色し、春慶漆という透明度の高い漆を上塗りします。

天然の木目をそのまま生かした技法です。

色は黄色や紅が一般的。

それぞれの産地名を冠して呼ばれています。 (春慶塗は飛騨だけではないんです!)

木の導管を止める為、拭き漆や目弾き塗りとは異なり、

仕上がりは表面の凹凸がなくなめらかです。

時間が経って、漆が透けて木目が浮かび上がってくる様子も味があります。

春慶も、小物や家具、建具など、空間の中でポイント使いしてみると面白いと思います。

ちなみにトップに掲載している花器は春慶塗です。

一度じっくりご覧になってくださいね。


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※1
渋柿の青い果実からしぼりとった液。
赤褐色で、昔から防腐・防水剤として紙・木などに塗られていました。

ここ数年、漆と同じくエコ塗料として見直され始めている材です。

※2
「べんがら」と呼びます。赤色顔料の一種で、酸化鉄を主成分。
着色力・耐久性に優れ、塗料やガラス・金属板の研磨剤などに使われています。
色は暗く黄がかった赤色に仕上がります。

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*漆コラム目次
こちら

No.35|漆コラムComment(1)Trackback()

漆のお手入れ方法

2007/10/13(Sat)17:18


「漆は手入れが大変そう・・・」

その様にお客様から言われると、

「お手入れはとても簡単なんですよ」

と言うのですが、なかなかピンと来ない様です。

ですので、今回は実例をお見せしたいと思います!


私たちの事務所の入り口にある漆塗りの建具。

毎日出入りする際に開け閉めします。

ギャラリーと事務所を仕切る漆塗り建具














お手入れと言えば、汚れが気になった時に乾拭きする程度。

建具の手かけ部分も漆塗り

 

 

 




 
▲漆塗りの建具。手掛けも漆塗り:5年間触り続けたのに綺麗です。


「え!?そんなに簡単なお手入れでいいの?」と驚く人もいるかもしれません。

漆製品のお手入れは、柔らかい布で乾拭きするだけでほぼ汚れは落ちます。

汚れが気になる様なら、よく絞った雑巾で水拭き(ぬるま湯でもOK)する程度。

少し水で薄めた洗剤とスポンジを使っても構いません。

(研磨剤入りの物や、表面が削れそうな物は×)

多少力を入れて磨いても大丈夫です。

汚れが落ちない様なら、少し水に漬けておいても構いません。

ただし、表面を濡らした場合は、乾拭きを忘れずに!

水分がシミとして残る場合もあります。

劣化防止手段として、たまに食用油を染み込ませた布で拭いてあげると、

艶が出て長持ちします。


「やっぱり色落ちが気になるな・・・」「艶がなくなってきたかも・・・」

そう思ったら、漆の塗り直しを検討していい時期かもしれません。

まずは商品を買ったお店にご相談ください。


色々書きましたが、お手入れはとてもシンプル。

私が実際に漆器のお手入れで気遣っている事といえば・・・

・他の食器と重ねない

・洗剤は使わない

たったこれだけ。

食器洗いの一番最初にささっと洗ってしまいます。


身近なものから漆を使ってみてはいかがでしょうか?

大切に、心をこめて使うほど、漆のよさがわかっていただけると思います。


*漆コラム目次はこちら

No.31|漆コラムComment(0)Trackback()

漆と紫外線

2007/10/12(Fri)00:00


以前から紫外線に弱いとは知っていたものの、

自分の目で変化を確かめたくて、実験を始めたのが2007年8月。

塗りは、拭き漆と和紙の2種類(塗りの種類はこちら)を用意。

一番紫外線が当たる、事務所の南側の窓にセッティングしました。


漆に紫外線を当ててみる









▲変化がよく判る様に当たる所と当たらない所を作る


4ヶ月目。見た目に変化はありませんでした。

日が当たっている所に多少ざらつきがあったかも?

折角なのでもう少し置くことに。

そして8ヶ月。

紙を剥がして見比べてみました。


拭き漆で紫外線実験。8ヵ月後










漆の紫外線実験8ヶ月目拡大写真







▲写真を拡大して見比べてください


艶がある所とない所、半分に綺麗に分かれています。

手触りも全く違い、紫外線が当たっている所はもっとざらざらになりました。

ちなみに和紙は、8ヶ月では見た目に大きな変化はありませんでした。


今回変化があった拭き漆は一番塗膜が薄い塗りなので、

紫外線が当たる事により、塗膜が痩せが早かったのだと思います。

やはり漆は紫外線に弱い物だと、改めて納得しました。

(蛍光灯程度の紫外線は全然大丈夫なんですけどね。)

漆塗りをご検討される際には、紫外線が当たらない場所かどうか

確認する事をお勧めします。


*漆コラム目次はこちら

No.29|漆コラムComment(0)Trackback()