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  株式会社カヤバの漆ブログ

TOP[PR]漆コラム漆塗り技法解説①:木目の美しさを際立てる塗り

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2024/11/26(Tue)06:35

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漆塗り技法解説①:木目の美しさを際立てる塗り

2007/10/14(Sun)00:00


漆塗りの技法も様々。

木目を生かした塗りや素材を生かした塗り、鏡面仕上げの様なピカピカした塗り、

たくさんの塗りがあります。

これからカヤバの得意とする塗りを順番に紹介していきたいと思います。

今回は木目の美しさを際立てる塗りです。

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 1.拭き漆(摺漆)

 2.目はじき(柿合わせ)塗り

 3.木曽春慶(木地呂)

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1.拭き漆(摺漆)


拭き漆







▲(左より)拭き漆:生漆/弁柄/黒漆


木地に漆を摺り込み、拭き取る作業を数回繰り返し薄く均一な漆膜を作り、

艶を上げる技法です。 

木地の色によって、仕上がりの色が違ってきます。

家具や小物はもちろん、建具や床・造作材など、どんな所でも使い易い

カジュアルな塗りです。

漆はウレタン塗装とは違い、木の呼吸を妨げません。

床材や壁に塗ると、夏はさらさら冬は冷たくならず、肌触りもとてもよいです!

漆塗りの中で一番お値打ちな塗りです。


拭き漆を施したフローリング










▲拭き漆を施したフローリング


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2.目はじき(柿合わせ)塗り


目はじき(柿合わせ)塗り







▲(左)赤漆 (右)黒漆


柿渋(※1)を直接下地に塗り、黒、紅柄(※2)などで色を付け、

半透明や黒の透漆を上塗りする技法。

材に直接、導管や木目を潰さずに塗り、導管の部分で漆をはじかせ、

目にそって小さな穴があく事を利用して凹凸を作っていきます。 

目はじきは、1.拭き漆と違い、塗っても拭き取らないので、木地の色はあまり影響せず、

漆の色がかなり出ます。

先日、スタッフ日記で掲載したこの商品も、赤の部分は目はじき塗りです。

小物や家具、建具など、空間の中でポイント使いしてみると面白いと思います。


目はじき(柿合わせ)塗りで塗った建具















▲目はじき塗りで塗った収納建具


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3.木曽春慶(木地呂)


春慶塗







▲春慶塗(左)艶あり(右)艶消し


木地を着色し、春慶漆という透明度の高い漆を上塗りします。

天然の木目をそのまま生かした技法です。

色は黄色や紅が一般的。

それぞれの産地名を冠して呼ばれています。 (春慶塗は飛騨だけではないんです!)

木の導管を止める為、拭き漆や目弾き塗りとは異なり、

仕上がりは表面の凹凸がなくなめらかです。

時間が経って、漆が透けて木目が浮かび上がってくる様子も味があります。

春慶も、小物や家具、建具など、空間の中でポイント使いしてみると面白いと思います。

ちなみにトップに掲載している花器は春慶塗です。

一度じっくりご覧になってくださいね。


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※1
渋柿の青い果実からしぼりとった液。
赤褐色で、昔から防腐・防水剤として紙・木などに塗られていました。

ここ数年、漆と同じくエコ塗料として見直され始めている材です。

※2
「べんがら」と呼びます。赤色顔料の一種で、酸化鉄を主成分。
着色力・耐久性に優れ、塗料やガラス・金属板の研磨剤などに使われています。
色は暗く黄がかった赤色に仕上がります。

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*漆コラム目次
こちら
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No.35|漆コラムComment(1)Trackback()

Comment

謎がとけました

2009/06/03(Wed)14:00

お茶のお稽古を楽しんでいます。
「眞塗り」「溜塗り」「柿合わせ」・・・と視覚的に判断することはできていたのですが、「はて、工程の違いは?」との疑問にネットの検索で、貴社の漆コラムに行き当たりました。
とてもわかりやすく解説してありましたので、一気に謎はとけました。ありがとうございました。
これからは生活の中にどんどん漆を取り入れていきたいと思います。

No.1|by 山本保恵|URLMailEdit

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